今日は、缶詰の日
10月10日は、一年の中でも特に記念日が多い日です。ちなみに一番多いのが、8月8日、次が10月10日と11月11日だそうです。(また順位は変わっているかもですが・・・)
そんな多い記念日の中で、今回は、「缶詰の日」をご紹介します。

10月10日は、私たちの食卓や防災生活を支えてきた「缶詰」をたたえる日です。
1877年(明治10年)10月10日、北海道・石狩町(現在の石狩市)で、日本初の本格的な缶詰工場が誕生しました。それを記念して、この日が「缶詰の日」と定められました。
当時、明治政府は、西洋の技術を積極的に取り入れており、缶詰もその一つでした。日本ではまだ冷蔵技術が普及しておらず、魚や肉などの保存は難しい時代でした。そこで注目されたのが、空気を遮断し加熱殺菌することで長期保存を可能にする“缶詰”という画期的な方法だったのです。最初に作られたのは、なんと「鮭の缶詰」。北海道の豊かな海の幸を、遠く本州まで新鮮なまま届けるための工夫でした。
現代では、缶詰といえば手軽で便利な食品の代表ですね。ツナ缶、みかん缶、やきとり缶など、誰もが一度はお世話になったことがあるでしょう。しかしその裏には、150年近くにわたる人々の知恵と工夫の歴史があります。特に戦中・戦後の食糧難の時代、缶詰は「命をつなぐ食べ物」として多くの人を支えました。そして現代では、非常食・キャンプ飯・おつまみと、活躍の場をさらに広げています。
最近では“ごちそう缶詰”と呼ばれる高級タイプも人気です。金目鯛の煮付けや牛すじ煮込み、さらにはスイーツ缶まで登場。「缶詰=安くて保存がきく」から「缶詰=手軽に本格的な味を楽しめる」へと進化しています。
缶詰の製造技術は、実は“宇宙食”にも応用されているんです。限られた環境で長く安全に食べられるという点で、缶詰はまさに“地球発の宇宙級テクノロジー”といえるでしょう。
10月10日の「缶詰の日」は、私たちが普段何気なく食べている“保存食”のありがたさを考えるきっかけでもあります。冷蔵庫が止まる災害時、缶詰は頼もしい味方になります。この日を機に、非常食の見直しやローリングストック(使いながら備える)を始めてみるのもいいかもしれません。
最後に少し豆知識を。
缶詰のふたを開けるとき、パカッと気持ちよく開くのは「内圧と真空の絶妙なバランス」のおかげ。
そして、あの“プシュッ”という音にも、長年の技術者たちの努力が詰まっているのです。
次に缶詰を開けるときは、ぜひ少しだけその背景に思いを馳せてみてください。
150年の時を越えて、私たちの食卓に届いた“明治の知恵”が、今日も私たちの食事を支えています。


