地球の未来を宇宙から見守る「いぶきGW」──H2Aロケット、最後の挑戦

本日、6月29日早朝、日本の宇宙開発に新たな節目が訪れました。鹿児島県・種子島宇宙センターから、H2Aロケットが力強く打ち上げられ、搭載された地球観測衛星「いぶきGW(GOSAT-GW)」は無事に地球周回軌道へと到達しました。記念すべきこの打ち上げは、H2Aにとって50回目であり、24年の運用を経た最後のフライトでもあります。

H2Aロケットは、2001年の初飛行以来、49回の成功を重ね、打ち上げ成功率は驚異の98%超。唯一の失敗は2003年の6号機のみで、その後は改良を重ね、世界的にも高い評価を得る信頼性を築いてきました。その集大成ともいえる今回のミッションは、まさに有終の美を飾るものとなりました。

そして今回の主役、「いぶきGW」は、温室効果ガスと水循環を同時に観測できる、日本の最先端技術が結集された環境観測衛星です。搭載された分光センサ「TANSO-3」は、二酸化炭素(CO₂)やメタン(CH₄)などの濃度分布を全球規模で“見える化”。さらにマイクロ波放射計「AMSR3」は、海面温度や大気中の水蒸気、降雨量などの水循環データを取得します。

これらのデータは、環境省や国立環境研究所(NIES)を通じて国際機関にも共有され、地球温暖化や気象変動に関する科学的根拠を提供。地球規模での環境政策や災害予測に貢献する重要な役割を担います。

宇宙から地球を見つめる「いぶきGW」は、まさに“気候ドクター”とも言える存在。GOSAT(2009年)、GOSAT-2(2018年)に続く三代目として、地球の呼吸を静かに、そして正確に記録し続けます。

夜明け前、轟音とともに昇ったH2Aロケットの光跡には、人類の技術と未来への希望が重なります。私たちの住むこの美しい地球を守り、次の世代へとつなぐ。その使命を、宇宙から静かに果たしてくれるのが「いぶきGW」なのです。

打ち上げを見守りつつ見上げていた人々の、喜びと晴れやかで誇らしげな顔をテレビで見て、感動した方も多かったのではないでしょうか。かくいう私もその一人です。

教室について詳しくはコチラ

初心から資格取得まで対応、開校21年のアットホームなパソコン教室です